~ mckay process ~

2019 年 8 月 11 日 日曜日


こんにちは Esprit の Fujii です。

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本日はEsprit Dress Shoes の製法について お話しさせて頂きます。


私は Esprit を立ち上げる前から、華奢で色気のあるドレスシューズを

好んで履いていました。

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必然的にその多くが〝 マッケイ製法 〟で作られたものでした。


このマッケイ製法(mckay process)とは、イタリアのマルケ地方の伝統的な技法で

今から160年も前にアメリカで開発されたマッケイ製法用の機械の権利を買い取った

ゴードン・マッケイ氏により現在のマッケイ製法の原型が確立されたそうです。

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マッケイ製法は、アッパー(甲革)・インソール(中底)・アウトソール(本底)を

一緒に通し縫いをします。

構造がシンプルであるため、靴の返りは良く、とても軽い履き心地になることから

まるで靴下を履いているようだ 』 と表現されることもしばしば。

実際、マッケイ製法は もともと室内用の靴に用いられる製法だったと言われています。

また、他の製法に比べ、コバの張り出しを抑えられるので、スマートかつ

エレガントなシルエットの靴を作ることが可能です。


また、採用されるアッパー素材にも特徴があります。

製造過程では、ラスト(木型)を入れた状態でアッパー・インソール・アウトソールを

張り合せ、一旦, ラストを抜きます。

そして、アッパー・インソール・アウトソールを縫い合せた後、再びラストを差し込みます。

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このように、ラストの抜き差しを繰り返す為、アッパーにはシワの入りにくい革

でなければなりません。

その為、繊維が細やかな革を採用します。

※ Esprit では仏アノネイ社や独ワインハイマー社のボックスカーフを使用。


そのような革だからこそ、しなやかなフォルムやラストのラインを活かした

美麗なシルエットが実現できます。


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ここまでご説明した通り、マッケイ製法の長所は、履いた際の返りの良さや

軽さなど、快適な履き心地に加え、優美で繊細な仕上がりにあります。

一方では、その構造上( アッパーとアウトソールの間に、ウェルトやコルクなどのクッション材が無い為 )、

長時間履くのには適さないというデメリットが挙げられます。

(実際、私はそのようには感じませんが…)

これは 先に挙げた、室内用の靴のための製法という成り立ちからだと思います。


そして、マッケイ製法の靴は ソールの張り替えができない、もしくは,1回しか出来ないとなどと

よく耳にしますが、マッケイ製法の靴でも状態が良ければ2〜3回のソール張り替えは十分可能です。

しかし、実際のところ、一足の靴をそう何度もソール交換をしないと思います。

また、Espritのアウトソール(レザーソール)は、革の繊維密度の高いイタリアンベンズを

使用していますので その消耗度合いは、他のレザーソールに比べ圧倒的に優れています。


そして Espritは、そのアウトソールに一手間加えます。

※実際には、一手間ではすみませんが・・・

それは、靴底の処理です。

一般的にマッケイ製法で作られた靴には、底面から縫い糸が見えます。

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これは、オープンチャネルやオープンマッケイと呼ばれる縫い目ですが

Esprit はこれを エレガンスとして認めていません。

そこで、アウトソールの表面を革包丁で掻き上げて、縫い付けた後に掻き上げた革を伏せて

縫い糸を隠すヒドゥンチャネルと言う手法で 最上のエレガンスに仕上げます。


Esprit Grande Collections のアウトソール

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Esprit D’or Collections のアウトソール

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さて ここまで、マッケイ製法の良い点、悪い点(と言われる)について

お話ししてきましたが、ここからは マッケイ製法の魅力について述べたいと思います。


マッケイ製法の魅力を一言で言うならば、そのデザイン性の高さです!

紳士靴を語る際、そのデザインでドレスコードの高さを表現します。

その筆頭に挙げられる、内羽根式のキャップトゥや内羽根式のプレーントゥなどは

トゥが長く, 薄いソール。

さらには、コバが張っていない靴ほど、よりドレッシーでエレガントだと言われます。

これは Esprit Dress Shoes のコンセプトや、それを生み出す製法と(まさに)合致します。


某ブランドの靴にはしっかりとしたコバが

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一方, Esprit の靴は コバが (ほとんど) 見えません。



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履き手の立ち姿を美しく魅せる靴の秘密は、このマッケイ製法あるのです。


本日は エレガンスを生み出す、マッケイ製法のお話しをさせて頂きました。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


À bientôt !

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